2010年9月10日金曜日

ノート PC ”VAIO Z12” に Windows Server 2008 をインストール(その3, 最終回)


 前回は、実際に VAIO Z12(VPCZ1)Windows Server 2008 R2 をインストールする方法をご紹介しました。この方法で一番やっかいなのは、リカバリディスクから吸い出した各ドライバや VAIO 専用アプリのインストーラ(setup.exeなど)が格納されているフォルダ名が、何らかのコードのような表記(MODC-164679.no_51…など)になっており、インストーラを実行してみるまでは、その内容がわからないことです(関連するファイルをダンプして中身を確認する方法などもありますが、ちょっと玄人向けですよね) 。

 例えば、グラフィックコントローラのドライバだけをインストールしようとしても、リカバリディスクから吸い出し可能なインストーラは 200 個以上ありますので、そのインストーラを探し出すのは結構大変です。

 そこで今回は、リカバリディスクや VAIO サポートページを利用せずに各種ドライバ(※)を入手する方法をご紹介します。

(※) VAIO 専用アプリのインストールについては、リカバリディスクを使用するか、
   運良く VAIO サポートページ上にて提供されることを祈るしかありません(?)。

 ここでは例として、内蔵グラフィックコントローラのドライバを探してみます。



 1.デバイスマネージャを開く
  「スタートメニュー」→「コントロールパネル」→ 「ハードウェアとサウンド」
  →「デバイスマネージャ」をクリックします。

  Image1

 2.グラフィックコントローラの Vender ID および Device ID を確認する
  グラフィックコントローラのドライバがインストールされていない場合は、
  OS 標準のグラフィックドライバが適用されるため、デバイスマネージャの
  「ディスプレイコントローラ」を参照すると、「標準 VGA グラフィック アダプター」と
  表示されています(※)。

  (※) ドライバ未インストールのデバイスに対して OS が標準でドライバを持っていない
     場合は、”不明なデバイス”のように表示されます。この場合もステップ 2 と同様に、
     Device ID および Vender ID を確認することができます。

  これを右クリックし、「プロパティ」→「詳細」タブ→「プロパティ」→「ハードウェア ID」を
  選択します。

  Image2

  ここで「値」の欄を確認すると、
  「PCI\VEN_8086&DEV_0046&…」のように記載されています。

   これは、このデバイスは「PCI 接続」であり、
   「Vender ID は 8086(16進)」
   「Device ID は 0046(16進)」
  であることを表しています。

3.グラフィックコントローラのベンダー(メーカー)とデバイスの情報を調べる
  ステップ 2 により、このグラフィックコントローラは PCI 接続であることが分かりました。
  そこで、PCI デバイスのデータベースサイト PCIDatabase.com に行ってみます。

  このサイトでは、Vender ID または Device ID をもとに、そのデバイスが
    何であるかを調べることができます。

  まずはトップページから、「Vender Search:」に Vender ID の 8086 を入力し、
  Search ボタンを押します。

  Image3

  すると、この ID のベンダーは Intel Corporation であることが分かります。
  さらに「Intel Corporation」をクリックすると、

  Image4

  Device ID 毎に、そのデバイスの概要が表示されます。

  Image5

  このページ内で Device ID である 0046 を検索してみると、 このデバイスは
  「Intel Graphics Media Accelerator HD」であることが分かります

  Image6

  同様に、Device ID からデバイスを検索することも可能です。
  トップページから、「Device Search:」に Device ID の 0046 を入力し、
  Search ボタンを押します。

  Image7

    すると、各ベンダーの Device ID が 0046 のデバイスがリスト表示され、Vender ID が
  0x8086 の場合は「Intel Graphics Media Accelerator HD」であることが分かります。 

  Image8

  インテルのように、沢山の製品を持つベンダーの場合は、Device ID で検索した方が
  目的のデバイス情報を見つけやすいかも知れません。 

 4.ベンダーやデバイスの名前から、デバイスの情報を検索して確認する
  PCIDatabase.com 上の情報はユーザーが報告したもので、必ずしも正確とは言えません。
  そのため、とりあえず Google で、
   「Intel Graphics Media Accelerator HD」 と
  検索してみます。

  現時点で検索トップの Wiki によると、正式な呼称は「Intel HD Graphics」のようなので、
   「Intel HD Graphics ドライバ ダウンロード」 と
  検索してみます。

  検索トップのページを参照したところ、めでたくドライバのダウンロードページ
  辿りつけました!

  Image9

 5.おまけ:USB 接続のデバイスの場合
  USB 接続のデバイスの場合も、PCI 接続のデバイスと同様にドライバを探すことが
  可能です。

  USB 規格では、Vender ID と Product ID によって USB デバイスの ID を管理しています。
  デバイスマネージャ上でこれらの ID を確認し、linux-usb.org などでデバイスの情報を
  検索することができます。


 この方法は、VAIO に限らず、どの PC でも試すことができます。ドライバの入手にお困りの際は、是非試してみてください。

 それにしても、メーカーがドライバや専用アプリをネット上からダウンロードできるようにしてくれれば、こんな苦労は必要ないのですけどね(このあたりを嫌って VAIO の購入を避ける人も少なからずいるのではないでしょうか? 良い製品なのに勿体ないことです…)。ダウンロード提供物に関する一切の責任は放棄してもらっても構わないので、サービスの改善を願っています。

 余談:インテルの PCI Vender ID が 8086 というのが面白いですね(笑)。
     以前に、PCI Vender ID の取得申請を行ったことがありますが、
     通常は、PCI の規格団体 PCI-SIG が割り当てる ID を使用することになります。
     PCI 規格を作ったインテルの特権といったところでしょうか。

2010年9月5日日曜日

ノート PC ”VAIO Z12” に Windows Server 2008 をインストール(その2)


 今回は、VAIO Z12Widnows Server 2008 R2 をインストールする方法をご紹介します。

 準備するもの
  ・VAIO リカバリディスク(3枚)
   VAIO Care を使用してリカバリディスクを作成します。
   VAIO Care は 2008 R2 では動作しません(起動時に異常終了してしまいます)ので、
   Windows 7 で作成します。

  ・Mod2Wim
   リカバリディスクから VAIO 専用アプリや各種ドライバを吸い出すツールです。
   リカバリディスク内のパッケージは MOD 形式となっていますが、
   それを Windows イメージング (WIM) 形式 に変換してくれます。

  ・Windows 7 自動インストール キット(2008 R2 対応)
   WIM 形式のファイルを通常のファイルに変換するツール ImageX が格納されています。
   (Mod2Wim のパッケージ内にも ImageX が格納されていますが、これは 旧 OS 用の
    ため、Windows 7 や 2008 R2 では動作しません)

 インストール手順
   1.Mod2Wim.zip を解凍する
    今回は C:\Mod2Wim に解凍します。

   2.Windows 7 自動インストールキットをインストールする
    今回は C:\Program Files\Windows AIK\ にインストールします。

   3.自動インストールキット内の ImageX ツールを Mod2Wim フォルダにコピーする
    C:\Program Files\Windows AIK\Tools\x86 フォルダ内のすべてのファイル
    およびフォルダを C:\mod2wim\imagex32 に上書きコピーします。

   4.C:\Mod2Wim\Mod2Wim.bat を実行する
     実行すると、次のような画面になります。

    Image1

   5.リカバリディスク DISC1 をセットする
    今回は、E ドライブにセットします。

   6.リカバリディスクのドライブ設定する
    デフォルトではリカバリディスクは Z ドライブに設定されているため、
    ”Select option:” に ”S” キーを入力し、”S: Set Recovery Volume” を実行して
    ドライブを設定します。今回は、E ドライブを設定します。

    Image2

   7.MOD ファイルを WIM ファイルに変換する
    “1: Copy&Process MOD Files” を実行すると、リカバリディスク上の MOD ファイルが
    WIM ファイルに変換され、C:\mod2wim\wim に格納されます。

    Image3     変換中は、上のような画面になります。
    変換に失敗する場合は、リカバリディスクとドライブ設定を確認してください。

   8.リカバリディスク DISC2, 3 をセットし、変換する
    続いて DISC2, 3 をセットし、”1” キーを入力してファイルの変換を行ないます。

    変換完了後、C:\mod2wim\wim フォルダ内を確認すると、リカバリディスク上の
    MOD ファイルが WIM ファイルに変換されていることが分かります。

    Image5

   9.WIM ファイルを移動する
    C:\mod2wim\wim フォルダ内のすべての WIM ファイルを、適当なフォルダに
    移動します。ここでは C:\WIM とします。

   9.WIM 形式のファイルを通常のファイルとして見えるようにします
    C:\WIM 内の WIM ファイル 20 個を C:\mod2wim\wim に移動し、
    ”5: [Un]Mount Patched Files” を実行します。

    Image6

    ここで C:\mod2wim\wim フォルダ内を確認すると、WIM 形式のファイルに
    対応した “~.dir” フォルダが作成され、フォルダ内にはインストーラなどが
    格納されていることが分かります。

  10.”~.dir” フォルダを別な場所にコピーする
    ”~.dir” フォルダは ”5: [Un]Mount Patched Files” を実行している間のみ
    参照可能なため、すべての ”~.dir” フォルダを他の場所にコピーします。
    ここでは、C:\RecoveryFiles にコピーします。
    コピー完了後、C:\mod2wim\wim フォルダ内の WIM ファイルは特に必要ないため、
    再度 ”5: [Un]Mount Patched Files” を実行し、WIM ファイルのロックを解除してから
    削除します(または、WIM が必要な場合は適当なフォルダに移動してください)。

  11.ステップ 9, 10 を繰り返す
    C:\WIM 内の WIM ファイルがなくなるまで、ステップ 9~10 を繰り返します。

    ステップ 9 で WIM ファイルを 20 個ずつコピーして参照するようにしているのは、
    ”5: [Un]Mount Patched Files” を実行しても、C:\mod2wim\wim フォルダ内の
    WIM ファイルのうち、ファイル名前昇順の上位 20 個以外は ”~.dir” フォルダの
    中身が空になってしまい、正しく参照することができないためです。

    (これには少々ハマりました…)

  12.リカバリディスクからの吸い出し完了
    C:\RecoveryFiles フォルダ内には、リカバリディスクから吸い出した各種ドライバ
    および VAIO 専用アプリが格納されています。 これらファイルは、2008 R2
    インストール後に必要となりますので、USB メモリ等、適当な場所にコピーしておきます。

    なお、吸い出したドライバやアプリのフォルダは ”MODC-164679.no_51.wim.wim.dir”
    のような名前になっており、実行してみるまでその内容は分かりませんので、
    適当に実行してみてください。(^^;

  13.Windows Server 2008 R2、ドライバ、VAIO 専用アプリのインストール
    OS のインストール後、ドライバおよび VAIO 専用アプリをインストールします。
    VAIO 専用のアプリについて、例えば VAIO Care など、そのいくつかは
    2008 R2 では動作しませんでした。ただ、”VAIO の設定” や ”省電力の設定”、
    ”VAIO Event Service” などはインストールできましたので、ホットキーなど、
    VAIO として使用するための必要最低限の環境は整うと思います。

  14.インストール完了!
    VAIO Z12 で Windows Server 2008 R2 が動作しているのを見て
    自己満足に浸りましょう。(笑)

 おまけ
   Hyper-V を使用する場合は、現時点で Windows Server 2008 R2 Service Pack 1 Beta
  をインストールする必要がありますのでご注意ください。

   私は Hyper-V を使いたくて Windows Server 2008 R2 をインストールしたのですが、
  なぜか内蔵の Intel グラフィクスコントローラと Hyper-V のサービスが競合してしまい、
  起動時にブルースクリーンとなってしまう始末でした。グラフィクスドライバを OFF にすれば
  競合は発生しませんが、それでは Z12 の Full HD ディスプレイが泣いてしまいます。
  これでは何のために苦労してインストールしたのかと途方に暮れていたところ、
  Orion さんが SP1 の情報を見つけてきてくれました。Orion さんに感謝!